計装工事とは

社団法人 日本計装工業会が発行する「計装工事マニュアル」の冒頭に掲載されている言葉を引用すると、

  • 制御の目的で計測装置または計測制御装置を装備すること、またその技術。(広辞苑)
  • 測定装置、制御装置などを装備すること。(計測用語)
  • ある仕事を目的として使用する計測器・制御装置などを装備する、つまり適切なものを計画し、選定し、配置し、取付け、備えることである。(計測用語)

と定義されており、その取りまとめとして実務面で表現すると、工場・施設・ビルにおいて、設備が高度な機能を発揮し、かつ、運転・管理の省力化、省エネ化、効率化、品質・安全の確保を実現させるため、適切な計測機器・制御機器・監視制御装置を計画し、選定し、装備し、運転管理するシステムとなり、それを実現することを目的に発達してきたものが、計装技術であると記載されている。

そのすぐ次の事項に、「計装化の目的」として、プロセス工業における計装化の目的は、いかにプラントを合理的に運転するかにあると記載されていることから通常、巷で使われている「計装工事」とは「プロセス計装工事」のことを指していると考えられます。

しかしながら、より底辺に下りた場合、ひと言に「計装工事」と言っても、必ずしも「プロセス計装工事」では無いのです。

空調工事などで、冷凍機・ファンコイル・膨張弁・ヒーターなどを組み合わせ制御する工事も計装工事と呼ばれ、工場内の製造ラインなど(単純にコンベアラインなども含めて)の工事をする側に言わせるとこれも計装工事と呼ばれています。

ただ、これらの制御ソフトを組む側から言うと「制御システム」「制御工事」と呼ばれていることもあります。

ではいったい、同一の現場で何をもって電気工事と計装工事の区別をつけるのか…。
電源を送る配線についての工事が「電気工事」、それ以外の配線についての工事が「計装工事」なのでしょうか?

共聴設備・放送設備・防犯設備なども最近では複雑な制御システムが組まれたりしていますが、この場合はどうでしょうか。
計装工事が正しいのでしょうか。それともコンベアラインなどは前述の「制御工事」とまとめてしまえばいいのでしょうか…?
これらの事柄などで分けてしまうにはあまりにも乱暴すぎる線引きだと思います。

プラントイメージ

当サイトでは、この難攻不落の命題については、ひとまず横に置かせていただき、当サイトが考える「計装工事」とは、 「機器をもって計測をし、機器をもってコントロールする、その計画・設計及び施工に至るすべてのこと」 として、それにあてはまるすべてのことがらを、できる限りのグループ分け・色分けをし、当サイトをご利用いただく全ての方にとって必要とする技術・情報などをできるだけスムーズに、かつ、正確にお届けできるサイトを目指していきます。

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